生物学的重要性
ヒトや動物の身体のおよそ2/3は、水から構成されている。それだけに水は、生命を維持するうえで重要なものである。体内では糖質やタンパク質のような分子と水素結合を形成して、それらの物質を溶解し性質を変化させる働きをもつ。このように水は、多くの生化学反応に関与している。体内に入った水は、腸から吸収され血流量を増す。血管は内容量が増加することによってさらに流動的になり循環が速められる。血液の量が増伽すると、より多くの水が身体のあらゆる部分の老廃物と接触することができる。そして老廃物は分解されて排泄される。このことは尿の排泄量の増加や発汗が活発になることによって示される。腸は排泄作用の重要な器官で、その内側は粘膜で覆われている。水を多量に体内にとりいれるとその運動が活発になり、腸の内容物がより流動的になって排出量も増加する。そのため便秘を解消するてだてとなる。また血液から有毒な老廃物をとりのぞき血液をきれいにする。ヒトでは流体分泌物と排泄されるものの9/10は水である。発汗による蒸散と唾液によって排出されるものの100%近くが、そして血液の90%、筋肉の80〜90%が水である。 水の生物学的な働き
・体内において糖質やタンパク質のような分子の性質を変化させる。
・体内に入った水は、血流量を増やし血液の循環が促進される。
・腸の運動を活性化し便秘を防ぐ。
・血液中から老廃物や死細胞をとりのぞく。 犬の身体における役割
犬の身体の70%近くは水分である。汗腺があまり発達していない犬は肺と泌尿器官を通して、毎日多量の水分を排出している。気温の高い地域の犬とそうでない地或の犬とでは、その耐久性に格段の差がある。それは、犬がハアハアと口から水蒸気を発散させる浅速呼吸法という独特の方法で体温を調節するためである。夏(気温の高い時期)には温度調節のために排出される水の量は膨大である。暑いときはとくにたっぷりの水を用意することカ泌要である。 水分パランスの調整
健康を維持するために私たちの身体はホメオスタシスと呼ばれる機構をもっている。そのなかには、体内の水分バランスの調節カ冶まれている。水分バランスの調節は、おもに視床下部による渇感を調節する機構、抗利尿ホルモン、腎臓の水分蓄漬と排泄によって行われる。水分不足や水分過剰の状態は普通ナトリウムの不足あるいは過剰をともなっている。水分不足は摂取量の低下(昏睡時)または喪失量の増加(多量の発汗、糖尿病の場合の腎臓からの喪失、乳児の下痢、コレラによる下痢)によって起こる。水分過剰はとりこみ量の増加(静派輸液の過剰投与)と排泄量の低下(重症の腎障害)とがある。水は身体の状態が良好であろうとなかろうと、生命維持に必要なすべての過程に深く関わっている。入浴するとカゼをひきやすくなるというのは誤った考えであり、実は身体の循環の乱れが原因なのである。 犬と水
犬は活発な運動のあととくに多量の尿を排出するので、健康維持のためにはこの非常に大切な液体、水を摂取し定期的に体内の水分を補給し続けなければならない。犬は病気のときに水だけで何日間も生きていることができる。逆にぷだんでも水を摂取しないと限られた日数以上は生き長らえることはできない。穴に落ちたり、古い鉱山に迷い込んだり、建物の下敷きになったりした犬が水なしで何週間も生きていたという例外もあるが・・・。犬が毎日摂取する水は健康のために純粋で自然なものでなければならない。かつて競走馬の有名なブリーダーは、泉から湧き出る純粋な水を得ることのできる地域を探し求めたという話がある。なぜなら、よい水なしには強い骨をもつ競走馬をつくることはできないからである。ヒトも犬も同様によい水に恵まれることは健康上とても有益であると思われる。犬に与える飲み水は、1日に2回はとりかえ、水を入れる容器は日陰に置かなければならない。犬のいる環境にもよるが、工場の排煙や化学物質で汚染された大気を通して降る雨でない限り、できるだけ雨水を集めてろ過し与えることもひとつの方法である。しかし原子カ発電の近くや交通量が多いため排気ガスに汚染された地域での雨水は、くれぐれも与えないようにする。食事のあとすぐに水を飲ませてはいけないことも重要なことだ。よく「フードといっしょに水を与えてください」という表示があるが、これは正しくない。なぜなら、なかば消化された状態の食物がさらに下の腸へと洗い落とされてしまい、消化不良や鼓腸症の原因となるからである。またビタミンやミネラルが利用されずに消化器を通過して排出されてしまう。以上のことから水は、食後30分ぐらいに与えるのがよいと思われる。子犬は離乳する時期よりかなり前から水を欲している。子犬の眼が開いたらすぐに浅い皿で水を与えるべきである。このことを聞いたことのないようなヒトは不安に思うかもしれないが、子犬が草や植物についた水滴を探してなめている姿を見ると勇気づけられるだろう。子犬が水を摂取すれば、子犬の世話をする母犬にとっても負担が少しは減るのである。ナチュラル志向が高まっているなか、水に関してはまだまだその重要性が知られていない。次に現代の水が健康へ与える影響について見てみよう。 危険な現代の水
私たちの生活においては、蛇口から出る水に含まれた塩素やフッ素を避けることはますます困難になってきている。マウスからヒトまでにおける医学研究によると、フッ化物によって引き起こされるガンが増えつつあることが明らかになっている。アメリカのディーン・バーク博士(The U.S.Public Health Ser‐vice National Cancer lnstituteで35年間、高レベルの研究を行った人物)は、この結果について次のように主張している。「私が思うには、このデータはアメリカで亡くなったガン患者の1/10が水道水に含まれるフッ化物に関連していることを示しているのではないかということである。フッ化物によって毎年約4万人ものガンによる死者が余分に発生していることになる。この数字は乳ガンによる死亡者よりも多いことになるのだ」。そしてヒトも犬も水が原因となったカドミウム中毒、銅中毒、鉛中毒の危倹にさらされている。これらの重金属は、水道管自体に部分的に合まれており、その金属がさびてくるとそこを流れる水とともに蛇口から出てきて、実に容易に私たちの体内に入ってくるのだ。私たちやペットの体内に入った重金属が蓄積されると、ここに挙げるのはほんの一部だが腎臓病、肺気腫、高血圧、心臓病、精神障害、貧血症、流産、てんかん、うつ病、関節炎などが引き起こされる。ここでアメリカでの例を挙げてみよう。The U.S.Public Health Serviceは、飲む水に含まれる健康に支障をきたさない銅の基準量を設定した。それに基づき調査したところ、いくつかの都市では水道水に含まれる銅が基準値を5.5倍も超えていたということである。日本では厚生省が水質目標値を決めて指導しているが、この目標値は水田や畑などの農耕地で使用される農薬による水系汚染を想定したものではないので、対象農薬も限られているのが実情だ。せめてョーロッパなみの飲料水の基準を設けることを検討してほしいものである。農薬による水系汚染は、一般に農薬使用が多い春から夏にかけての時期の検出値が高く、秋から冬の時期が低くなるという変動を示す。原水には検出されても浄水処理後は検出限界以下になる農薬もあるのだが、これは処理により除去されたというより塩素と反応を起こし別の物質に変化したため、残留検査に引っかからないということも考えられる。農薬などは上態バランスの下から上へいくほど濃縮されるので、私たちの口に入る魚介類にはどれだけの毒が冶まれているかと考えると恐ろしいものである。以上が、私たちが毎日飲んでいる水に含まれているおもな危険物質である。水をここまて発険なものとしてしまったのは、ヒトが水を汚染してしまったからだということを忘れてはならない。生物は水なしには生きてはいけない。水は体内の老廃物や死細胞を体外に排出する働きをする。ロバートソン博士は、不純物を含んだ水は純粋な水がもつ“運ぶ力”をもっていないため、多くの毒素や死細胞を体内の循環器系統に残し非常に危険だと言っている。では、私たちはいったいどのようにして恐ろしい毒の含まれた水を飲まないようにしたらよいのだろうか?簡単でお金もそれほどかからない方法としては、水を使う前に5分間出しっぱなしにすることである。このようにするとさびた重金属が水道管から排水口に流れ出されて、少しはその害が減る。ただし水そのものの中にある300種以上もの汚染物質はまったくなくならないが・・・。それを少しでも改善するには、健康への投資をすることだ。つまり高性能な浄水器を購入するのである。現在さまざまな浄水器が出回っている。そのなかでもすぐにその効果が薄れていくものもあるので、よく調べて購入することか大切だ。 泉水と蒸留水
泉水と蒸留水のどちらが理想的な水なのかということを聞いたことがあるかもしれない。栄養学博士や獣駆学博土たちはこのことについて議論し続けているが、その多くは蒸留水のほうが安全ではないかと考えている。泉水にはマグネシウム、鉄、塩などカ冶まれている。飲むこともできるものもあるが、ほとんどは入浴によって外部の病気を治僚するために使われている。身体をきれいにするという性質はとくにはない。だが泉水は汚染されていると指摘する学者もいる。もし泉水を選ぷならその泉源が純粋なものであるか確かめる必要がある。泉水の表示はあまり信じることはできない。というのもその表示を書くときに「この泉水は汚染された泉源から引いています」とするはずはないからである。結局、泉水が純粋なものであるということを確かめることができない場合、蒸留水を使うのが賢明だろう。栄養学獣医師のなかには、蒸留水は必要な栄養物質を欠き体内の栄養物質をも体外へ排出してしまうので、危険だというものもいる。蒸留水が生体にとって望ましい栄養物質を含んでいないということに関して、ロバートソン博士は「水中の無機栄養物質は生体には必要のないものである」と言っている。そして蒸留水が体内から栄養物質を奪い出してしまうということについては、ロバートソン博士、メアリー・ゴールドスタイン博士は「蒸留水が奪い出す栄養物質は生体にとって不要な無機栄養物質であり、ほかの不必要な老廃物も排出する働きをする」と言っている。実際、栄養学獣医師は関節炎の治療を行う際に不必要な栄養物質を体外へ出すため、蒸留水を使用しているのだ。 ナチュラルな食事にもうひとつよい水をとりいれれぱ私たちも犬もより健康になることは確かである。もう一度この生命に深い関わりのある“水”について考え直すことが必要である。(DOGvol5参照)
当店取扱の水「ペロリー薬王水」などもあります。 A&ME